早くおかしくなり終わってしまいたい、そんな1曲リピート中です。
追記はまた青エクSS「僕は腐敗している」のmemo、吸血に伴うグロ注意。
もっとエグく完成する予定だったのですが、まぁあっさり、ですね。
文字数に余裕があるので、もう一エピソードくらい入れてもいいかな、とか。
追記はまた青エクSS「僕は腐敗している」のmemo、吸血に伴うグロ注意。
もっとエグく完成する予定だったのですが、まぁあっさり、ですね。
文字数に余裕があるので、もう一エピソードくらい入れてもいいかな、とか。
青く滲む焔が、はじけた。
胎児がふたり、共に包まれた母の胎の中、羊水の中に焔があぶくのようにたゆたっている。青い焔は、その禍々しさに反して異様に美しい。
ひくり、と胎児のまぶたが震えた。ふたりからぼぅと吹き抜ける焔を、片方が懸命に小さな掌を動かして手繰っている。小さなてのひらが、片割れを苛む焔にのばされる。爪が腕をかすり、傷口が焼けてひきつれる。
痛みに怯えた片割れが、可能な限り手足をばたつかせ始めた。腹に衝撃を受け、顔を蹴られても、焔を手繰る手は止まらなかった。ちいさな手の中に包み込まれた焔は更に小さな口に運ばれ、あくあくと嚥下されていく。焔をたぐり、狭い胎の中、体の向きを変える。もう少しで全ての焔がその口に含まれる、ところ、だった。
片割れの腕に、焔を手繰る爪が強く当たった。皮膚が破れ、暴れ疲れて静かになっていた片割れが、痛みに驚いて再び暴れだす。手繰り切れなかった焔に触れた片割れの肌が、じゅうぅぅ、と嫌な音をさせた。暴れられるまま、伸びた爪がやわらかな肌を傷つけていく。その血液が羊水に流れ込み、片割れの口に入った。すこしだけ、片割れの鼓動が強くなったような気がした。
燐には、わかっていた。焔が片割れを侵し、弱らせている。傍らの者を、守りたい。それだけを強く願って、焔を取り込み続け、そして命の絶えそうな片割れを誰か助けてと、柔らかな壁を強く蹴った。
そうして、二人は未熟児として生を受けた。
------------------------------
生まれた時、僕のからだは死に体だった。
出生時には死にかけていたという僕の命は、揃いの命が僕を繋いでくれていたのだという。燐の血に宿る生命力によって、雪男は生き長らえた、そうだ。双子の片割れの血を薄めたものを、母乳替わりに飲んでいたと聞かされた時は、違和感もなく納得してしまい、そんな自分の心の動きにこそ驚いたものだ。
けれど、母の胎内で悪魔の仔から魔障を受けたのだ、それが原因で悪魔が見えるようにもなったのだと義父は言った。悪魔の存在は雪男を長く苦しめてきたが、兄を守ると決めた今となっては、些細なことだ。見えるということは、兄を守るために必要な能力だったから、雪男は生まれながらにして兄に2つの祝福を貰って生まれてきたことになる。そんな自分が誇らしくさえあった。
満月の夜は、燐の血が欲しくなる。身体が昂り、否応もなく燐の元に赴いてしまう。
幼い頃からの習慣だからか、燐も満月の夜は当たり前のように傍にいてくれることが、どれだけ雪男に安堵をもたらしているか、きっと燐は知らない。いつまでも周囲に馴染めない燐とは違い、自分は人の間で小器用に生きてきたから、自分の行動がどれだけ人間から逸脱しているものかは、きちんと理解しているつもりだ。
それでも、やめたいとも、やめようとも思わなかった。兄が世界で一番近くなるその時が、雪男にとってなによりも幸せな時間でもあったから。
血にまみれた首筋の温かさに酔う。血を分けた兄から滴る血液は、他のどんな液体にも勝る甘露となる。
いつだったか戯れにその体に触れ快楽を分け与えた時、それが常よりも思考を溶かすような味わいをみせることを雪男は知った。
燐の体をパンのようにこね熱を与え美味しくなる魔法をかける、その工程を雪男は惜しまなくなった。過ぎる快楽にとろとろにとろけたところを齧れば、痛みは快楽に代わるようで、悲鳴をあげながら雪男を呼ぶのだ。その声も、雪男をひどく満足させた。
噛んで、傷つけて、溢れたものを舐めながら舌で傷口を広げて更に零れる滴を啜り上げる。
悪魔として目覚め、身体の回復力が顕著になった近頃では、闇が深く深くなる頃には燐の肩はぐずぐずに傷付いて、消えようとする浅い傷と、雪男がくじる深紫に変色した傷とで斑の引きつれが描かれる。
修復してゆく箇所は痒みがあるらしい。舐めると燐は過剰なほど体をひくつかせるから、いやらしい体だね、とからかってやる。快楽に溶け羞恥に染まる目元のまま睨まれても、誘われているようにしか見えないことに、燐は自覚などないのだろうなと愛しく思う。
雪男が熱い吐息を吹き掛けながら、燐のやわらかな喉仏に齧りつけば、びくびくと痙攣する肢体がなまめかしい。衝動のまま緩く噛み付くと、ひ、と微かな悲鳴が上がった。採血に伴わない行為は、優しくすることにしている。その方が、燐が気持ちよさそうだからだ。
どこまでも淫猥な態を晒す燐の体だが、未だに雪男は最奥を暴いたことはない。
雪男はただ、くちびるとてのひらで快楽を暴き出しながら、燐の夜を貪るだけ。そして、朝日が昇る前に、全ての痕跡をきれいに無くしてしまい、兄を日常へと返すのだ。
兄を、日常へ。夜のない世界へ。僕のいない世界へ。どこか、とおくへ。
胸の中から、ぐじゅ、と腐った音がした。
満月の夜はいつも、ぐじゅりとふやける自分の体を見下ろすことから始まる。燐と二人、朝になれば全て元通りになることを知っているから、怖くはない。
怖くはない、けれど。
燐の生を啜って生きながらえる自分だが、もしかしたら、もしかしたら、もう。
動けないまま、やわらかく崩れ始める自分の体を眺めていると、傍らに近づいてきた燐が変な文字がプリントされたTシャツを脱ぎ去り、そっと雪男を抱きしめながら、その首筋を雪男の唇に近付けた。
胎児がふたり、共に包まれた母の胎の中、羊水の中に焔があぶくのようにたゆたっている。青い焔は、その禍々しさに反して異様に美しい。
ひくり、と胎児のまぶたが震えた。ふたりからぼぅと吹き抜ける焔を、片方が懸命に小さな掌を動かして手繰っている。小さなてのひらが、片割れを苛む焔にのばされる。爪が腕をかすり、傷口が焼けてひきつれる。
痛みに怯えた片割れが、可能な限り手足をばたつかせ始めた。腹に衝撃を受け、顔を蹴られても、焔を手繰る手は止まらなかった。ちいさな手の中に包み込まれた焔は更に小さな口に運ばれ、あくあくと嚥下されていく。焔をたぐり、狭い胎の中、体の向きを変える。もう少しで全ての焔がその口に含まれる、ところ、だった。
片割れの腕に、焔を手繰る爪が強く当たった。皮膚が破れ、暴れ疲れて静かになっていた片割れが、痛みに驚いて再び暴れだす。手繰り切れなかった焔に触れた片割れの肌が、じゅうぅぅ、と嫌な音をさせた。暴れられるまま、伸びた爪がやわらかな肌を傷つけていく。その血液が羊水に流れ込み、片割れの口に入った。すこしだけ、片割れの鼓動が強くなったような気がした。
燐には、わかっていた。焔が片割れを侵し、弱らせている。傍らの者を、守りたい。それだけを強く願って、焔を取り込み続け、そして命の絶えそうな片割れを誰か助けてと、柔らかな壁を強く蹴った。
そうして、二人は未熟児として生を受けた。
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生まれた時、僕のからだは死に体だった。
出生時には死にかけていたという僕の命は、揃いの命が僕を繋いでくれていたのだという。燐の血に宿る生命力によって、雪男は生き長らえた、そうだ。双子の片割れの血を薄めたものを、母乳替わりに飲んでいたと聞かされた時は、違和感もなく納得してしまい、そんな自分の心の動きにこそ驚いたものだ。
けれど、母の胎内で悪魔の仔から魔障を受けたのだ、それが原因で悪魔が見えるようにもなったのだと義父は言った。悪魔の存在は雪男を長く苦しめてきたが、兄を守ると決めた今となっては、些細なことだ。見えるということは、兄を守るために必要な能力だったから、雪男は生まれながらにして兄に2つの祝福を貰って生まれてきたことになる。そんな自分が誇らしくさえあった。
満月の夜は、燐の血が欲しくなる。身体が昂り、否応もなく燐の元に赴いてしまう。
幼い頃からの習慣だからか、燐も満月の夜は当たり前のように傍にいてくれることが、どれだけ雪男に安堵をもたらしているか、きっと燐は知らない。いつまでも周囲に馴染めない燐とは違い、自分は人の間で小器用に生きてきたから、自分の行動がどれだけ人間から逸脱しているものかは、きちんと理解しているつもりだ。
それでも、やめたいとも、やめようとも思わなかった。兄が世界で一番近くなるその時が、雪男にとってなによりも幸せな時間でもあったから。
血にまみれた首筋の温かさに酔う。血を分けた兄から滴る血液は、他のどんな液体にも勝る甘露となる。
いつだったか戯れにその体に触れ快楽を分け与えた時、それが常よりも思考を溶かすような味わいをみせることを雪男は知った。
燐の体をパンのようにこね熱を与え美味しくなる魔法をかける、その工程を雪男は惜しまなくなった。過ぎる快楽にとろとろにとろけたところを齧れば、痛みは快楽に代わるようで、悲鳴をあげながら雪男を呼ぶのだ。その声も、雪男をひどく満足させた。
噛んで、傷つけて、溢れたものを舐めながら舌で傷口を広げて更に零れる滴を啜り上げる。
悪魔として目覚め、身体の回復力が顕著になった近頃では、闇が深く深くなる頃には燐の肩はぐずぐずに傷付いて、消えようとする浅い傷と、雪男がくじる深紫に変色した傷とで斑の引きつれが描かれる。
修復してゆく箇所は痒みがあるらしい。舐めると燐は過剰なほど体をひくつかせるから、いやらしい体だね、とからかってやる。快楽に溶け羞恥に染まる目元のまま睨まれても、誘われているようにしか見えないことに、燐は自覚などないのだろうなと愛しく思う。
雪男が熱い吐息を吹き掛けながら、燐のやわらかな喉仏に齧りつけば、びくびくと痙攣する肢体がなまめかしい。衝動のまま緩く噛み付くと、ひ、と微かな悲鳴が上がった。採血に伴わない行為は、優しくすることにしている。その方が、燐が気持ちよさそうだからだ。
どこまでも淫猥な態を晒す燐の体だが、未だに雪男は最奥を暴いたことはない。
雪男はただ、くちびるとてのひらで快楽を暴き出しながら、燐の夜を貪るだけ。そして、朝日が昇る前に、全ての痕跡をきれいに無くしてしまい、兄を日常へと返すのだ。
兄を、日常へ。夜のない世界へ。僕のいない世界へ。どこか、とおくへ。
胸の中から、ぐじゅ、と腐った音がした。
満月の夜はいつも、ぐじゅりとふやける自分の体を見下ろすことから始まる。燐と二人、朝になれば全て元通りになることを知っているから、怖くはない。
怖くはない、けれど。
燐の生を啜って生きながらえる自分だが、もしかしたら、もしかしたら、もう。
動けないまま、やわらかく崩れ始める自分の体を眺めていると、傍らに近づいてきた燐が変な文字がプリントされたTシャツを脱ぎ去り、そっと雪男を抱きしめながら、その首筋を雪男の唇に近付けた。
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